川島朗｜十字の箱 / カニングフォーク

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チャールズ・ディケンズ没後150周年記念 熊谷めぐみ&霧とリボン共同企画展《ディケンジング・ロンドン》展出品作品。
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19世紀中頃、骨董屋であるトレント氏が所蔵していたと云われる中央部分が十字にくり抜かれた黒い箱。

カニングウーマンが呪術の際に使用し、代々受け継がれてきたものと伝えられているが詳細は不明。

金具部分や箱内部の一部は20世紀以降に何者かによって修繕された形跡がある。

……Akira Kawashima
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美術作品でディケンズの生きたロンドンを巡る趣向の本展。本作はディケンズの小説『骨董屋』をテーマに制作されました。

戸棚の中に広がっていた深い闇、そこに置かれていたただならぬ気配を湛えた十字の箱。蓋を開けるとそこには十字状に磔にされた謎めく小壜があり、蓋裏には判然としない肖像写真が貼られている。くり抜かれた十字からもれくる光は、何かの兆しだろうか——

歴史の頁に綴られていたはずが、いつの間にか忘れ去られたもの、意図して消されたもの、破り捨てられたもの、最初から綴られなかったもの——時によって風化された諸々が骨董屋に集まってくる。

その一頁一頁を長い時間をかけて蒐集し、丹念に修復し、歴史の中で編纂されなかった一冊の書物を人知れず装丁する——川島朗さまの一作から、そんなアトリエの風景を想像します。
　
深い静寂と柔らかな光で満たされた一室で、ゴシックの知性宿る指先が生み出す作品群に、後日の旅程でまた出会えるかもしれません。

★作品情報
作品の題材｜『骨董屋』
素材｜ミクストメディア
作品サイズ｜23.5cmx12.0cmx7.6cm
制作年｜2020年（新作）

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