永井健一｜エリック・レイク

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玉田優花子 × 霧とリボン 共同企画展《オペラ座の怪人》出品作品。
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クリスティーヌ・ダーエがオペラ座の怪人エリックに連れ去られて地下の湖を渡っていく間、彼女の心の大部分を占めたのは恐怖心だったと思いますが、エリックの拠点へ向かう道程を彼の心へ近づいていく比喩として描きました。

湖には仮面、赤い音符の書かれた楽譜、天使を思わせる羽が。
スウェーデンの山や父の眠る墓地のビジョンから落ちてきたのはラウルとの思い出のスカーフ。彼女はそれを拾おうとしているのか、それとも。

……永井健一

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文｜江口理恵

世界一有名かもしれないオペラ座の五番ボックス席。建築家がそこに大胆に赤色や鏡を配したのは、席に座る大切な会員客の顔色を映えさせるためだったという。

だが、『オペラ座の怪人』でそこに座るのは常に怪人の "気配″だけだ。
そして、気配や幻想というものを表現するのに永井健一ほど相応しい画家はいないのではないかと思う。

楽譜や小さな髑髏、仮面などが水中に漂う少しカオスな湖のボートの上で、恐怖とエリックに惹かれていきそうな自分と闘う様子のクリスティーヌ。怪人の顔は描かれず、緑色の手が怖さを演出している。
　


実際のオペラ座では建築時に地下に大量の水が見つかり、巨大な貯水タンクが作られたのだが、そこには水だけでなく幻想も貯蔵されたようだ。
　


劇場は天界、地上、冥界（奈落）という階層からなると言われるが、怪人が地下に闇の世界を作ってしまった。小説を象徴するシーンを、流麗な永井の筆が印象的に描ききっている。物語はクライマックスへと流れていく。


★作品情報
ミクストメディア・水彩紙（アルシュ）
作品サイズ｜23.2cm × 32.6cm
額込みサイズ｜38cm × 45.5cm
制作年｜2025年

★6枚目画像は本展DAY 1紹介全作品。お届けする作品は《エリック・レイク》のみとなります。
★7枚目画像は本作の着想となった原作の場面（新訳｜玉田優花子）。

★プロフィール
永井健一｜画家・イラストレーター
神戸出身です。小さな頃から絵を描き続け、大阪大学美学科卒業後に作家活動を開始しました。
個展での作品発表を中心に、イラストレーターとしての仕事やアーティストとのコラボレーション、絵画教室『 集集 - tudo tudo - 』主宰など絵にまつわる様々な活動を行っています。現 神戸芸術工科大学非常勤講師。

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