くるはらきみ｜聖ドロテア

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くるはらきみ個展 I《チャントの響く園〜四旬節から復活祭へ》出品作品。
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カエサリアのドロテア。園芸の守護聖人。

伝説によれば、聖女が刑場に引きたてられる途中、裁判官の書記テオフィルスは、彼女が天国のイエスの許へ行ったら、その楽園から薔薇の花とリンゴを幾つか、冬のさなかの地上にいる自分のところに送ってくれと言って嘲笑した。すると籠を持った男の子、あるいは天使が薔薇の花とリンゴの入った籠を持って現れた。テオフィルスは回心したと伝えられる。（図説『聖人事典』オットー・ヴィマー著より）

真冬の景色を背景に、聖ドロテアに相応しい清純な乙女椿の花を捧げました。

乙女椿の花言葉：控えめな愛、控えめな美

……くるはらきみ

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文｜江口理恵

《くるはらきみ個展》のメインヴィジュアルを飾る《聖ドロテア》。

園芸の守護聖人のほか、花屋、野菜栽培業、ビール製造業、司法関係者、妊婦や子ども、苦しみのなかにある人を守ってくれる慈愛に満ちた殉教者。

印象的な碧色の瞳に優しく荘厳な風情を漂わせる聖女。澄んだ空気の冬景色が広がるなか、アトリビュート（象徴）である林檎と薔薇の花籠も描かれている。作家のこだわりの乙女椿が咲き誇る木はハート型に見え、思わず心が温かくなる。
　

聖女と天使の足元にはモーヴ街の象徴である菫らしき花も。菫色は喪の色としても使用され、キリストの受難での従順を表現しているとも考えられる。

ロマン派の作曲家で聖職者でもあったF.リストが愛らしいピアノ独奏曲〈聖ドロテア〉を遺しているのだが、その曲調がまるでくるはらきみの描いた聖女の雰囲気そのものであることに驚く。

　

聖女は《くるはらきみ個展》とモーヴ街全体を優しく見守りぬいてくれるに違いない。


★作品情報
油彩・キャンバス
作品サイズ｜22.7cm×15.8cm
額込みサイズ｜29.4cm×22.7cm
制作年｜2025年（新作）

＊6枚目画像は会期DAY 2ご紹介作品。お届けする作品は《聖ドロテア》のみとなります。

★プロフィール
くるはらきみ｜画家・人形作家
東京生れ。幼い頃より自然のある場所に憧れる。大学では油彩を専攻しながら独学で人形制作を始める。2000年に長野県に移住。季節の移り変わりを身近に感じながら制作活動をしています。くるはらきみ & 影山多栄子二人展《夏の夜》（2019年・霧とリボン）ほか、個展、グループ展多数。

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