須川まきこ｜Twisted Sweet heart

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玉田優花子 × 霧とリボン 共同企画展《オペラ座の怪人》出品作品。
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舞台で披露するヒロインの歌声にシークレットハートも込めて・・・

……須川まきこ

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文｜維月 楓

ガストン・ルルーのゴシック小説『オペラ座の怪人』の新訳に導かれて、キッチュでフェティッシュな少女たちを描く須川まきこさまの作品が教えてくれる――仮面をつけたままでも踊っていいことを。ピンクと黒の反転の中で震える痛みと歓びは、芸術だけが許す夜の祈りであり、私たちの確かな証なのだ。

ヴェローナの墓の上で「ロミオとジュリエット」の魂が震える瞬間のように、須川さまの作品は私たちを連れ去る力を持っている。

二卵性双生児のバレリーナが、痛みと歓びを抱えながらトーシューズで立つ。その周りで、小さなサルたちが夜の香りをジャグリングして、小躍りしている。蝶の羽根のように儚く舞う中、ひとつずつハートが刺さる。

その痛みの向こうにだけ訪れる甘い震えが、芸術の本質なのだろう。すべてが怪人のような仮面を被る夜でも、この絵は私たちに踊り続ける理由を告げる。

オペラ座の深い帳の中で、若きオペラ歌手クリスティーヌの声が静かに空気を震わせる。芸術の長く白い指先だけが触れられる場所があり、そこでは甘さも痛みもすべてが鋭利に輝いている。須川まきこさまの作品は、その秘密を知る鏡なのだ。


★作品情報
アクリル絵の具・水彩紙
作品サイズ｜30cm × 23.5cm
額込みサイズ｜41.3cm × 32.1cm
制作年｜2025年（新作）

★4枚目画像は本展全出品作。お届けする作品は《Twisted Sweet heart》のみとなります。
★5枚目画像は本作の着想となった原作の場面（新訳｜玉田優花子）。

★プロフィール
須川まきこ｜イラストレーター
デザイン事務所勤務後、イラストレーターとして活動を始め、海外での個展や国内外での企画展に多数参加。美術館、江戸木版画、ランジェリーブランドや百貨店とのコラボレーション等を手掛ける。
JR南部駅舎にも絵を描き多岐にわたり活動し、義足のファッションショーの衣装デザインもする。2023年NHK日曜美術館に出演。
画集「Lady Amputee in powder Room」（エディシオン・トレヴィル）、「Melting」（アトリエサード）「Lace Queen」、絵本「ニーとメメ」（広告丸）を発刊。

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