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川野芽生 × 高田怜央|【Wサイン入り】詩と短編小説『黎明通信』

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モーヴ街4周年記念イベント《菫色の実験室vol.9〜菫色×デザート》出品作品。
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文|川野芽生

こんにちは。歌人・小説家の川野芽生です。
詩人・翻訳者の高田怜央さんと一緒にZineを作成しました。
造本・デザインは霧とリボンさんにお願いした、トリプルコラボ本です。
内容は詩と短篇小説(怜央さんとわたし、おのおの詩5篇、小説1篇)。
怜央さんが小説を発表するのははじめて。
わたしが詩をまとまったかたちで発表するのははじめてです。

[発端]
発端はおそらく約一年前、怜央さんの詩集『SAPERE ROMANTIKA』の刊行記念の高田怜央×永井玲衣トークイベント(代官山蔦屋書店)を聞きに行った時でしょうか。
話を聞いていたらなんだか詩が書きたくなり、その夜にその勢いのまま書いた詩を怜央さんにLINEで送るという蛮行をしました。
怜央さんが過分に褒めてくれるので調子に乗って過去に書いた詩も読んでもらったり、その後も詩が書けるたびに送りつけたりしていたら、どこか発表の場を作ろうよ、ということに。

同じころわたしが『奇病庭園』を刊行し、「文学はつねにすでに翻訳である」と題して、『SAPERE ROMANTIKA』とのW刊行記念トークを本屋B&Bさんにて開催したとき、特典として二人が詩を書き下ろし、それぞれに日英両バージョンを用意して(怜央さんは英→日、わたしは日→英)、ペーパーを作りました。
それがこのZineに再録した「竜胆に就いて/On Rindoh」です。

そのまま、次は一緒にZineを作りたいね、という話になりました。
そして、霧とリボンさんにデザインをお願いしたらどうだろう?
その怜央さんのアイディアにわたしは夢中になりました。
昨年、わたしと怜央さんは霧とリボンさんのコフレセットに文章で参加させていただいていました。
そのときの、繊細な紙のデザインの美しかったことといったら。
霧とリボンさんに自分たちの本を作ってもらったら、どんなにかわくわくするだろう。

[個人的な文学遍歴]
実をいうと以前にも詩を書いていたことがあります。
最初に本を出したり原稿依頼をもらったりするようになったのは歌人としてなのですが、それよりずっと前、ものごころついた頃から物語を書いていて、中学・高校では詩も書くようになりました。
ジャンルに関係なくとにかく〈文学〉が好きで、なんというか欲深なんでしょう、色々なジャンル・形式に手を出してきました。 といっても当時は文芸部や同好会の部誌で発表するくらいでしたが。
(ちなみに俳句も川柳も作ったことがあります)

その後、大学入学前後から短歌にはまり、数年間は短歌ばかりやっていましたが、小説のことも忘れられず、卒論の時期を前にして小説執筆を再開したりしました。
今では短歌と小説の両方を発表させてもらっています。

でも詩は長いこと書いていませんでした。
短歌にはまり、ある程度同時代の短歌なども読むようになると、詩を書くにはもっと現代詩のことをきちんと学ばないと……! という気持ちになってきて、ハードルが上がってしまったのも一因だと思います。
それまで読んでいたのは、近代詩か翻訳詩が主だったので。

そんなわけで詩を書くのは久しぶり、人に読んでもらうことも滅多になかったわたしが、このたびZineで詩を発表することになったのでした。
まだちょっと照れがあります。

[テーマ「海」について]
Zineのテーマは「海」。
これも個人的な理由で、海の近くに住んでいるもので、春頃、まだ水のつめたい波打ち際を散歩しながら、心にうつりゆくよしなしごとをiPhoneの音声入力でメモして数篇の詩となし、怜央さんに送ったからです。
今回のZineに載っているわたしの詩はそのとき作ったものです。
それに合わせて怜央さんも海の詩を作ってくれることになりました。

[短篇小説]
わたしが普段発表する機会のない詩を出すのだからと、怜央さんもはじめての短篇小説に挑戦することに。
長さ的には短篇、というより掌篇かな。
寄せては返す波のような不思議な文体を持つ小説を書いてくれました。

[デザイン・造本]
このZineの造本やデザインは、手に取ってじっくり眺めてほしいところです。
暁、波打ち際にきらめく砂のような、冷涼な装幀。
帯つきの本体冊子に、蛇腹状の小冊子が挟み込まれ、蔵書票もついています。
蔵書票には怜央さんとわたしの書き下ろし短歌が載っているので、実はこのZine一冊で詩+掌篇小説+短歌が読めるという計算です。

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★収録作品
【詩】
花飛沫
Many Oceans [海たち]

(足)(跡)

Blue [ブルー]

(貝)(殻)

APPARITION

メニュー

Crying Blue [クライン・ブルー]

そこに

最後のように
【短編小説】

難破船

TWILIGHT THEORY
【対話詩】

竜胆に就いて/On Rindoh

初出:川野芽生 × 高田怜央『奇病庭園』『SAPERE ROMANTIKA』W刊行記念トーク「文学はつねにすでに翻訳である」特典ペーパー(本屋 B&B、2023年)

★書籍情報
3点セット仕様:
[本体冊子]
A6サイズ/中綴じ製本/32p/表紙:特色印刷/本文:二色刷り/帯付き

[蛇腹小冊子]
112mm×80mm/外五つ折/帯付き

[蔵書票 ]
名刺サイズ/表面:特色印刷

写真:川野芽生
編集:高田怜央
造本・デザイン:霧とリボン

発行日:2024年8月31日
限定 600部

★プロフィール
川野芽生|小説家・歌人・文学研究者
1991年神奈川県生まれ。2018年に連作「Lilith」で第29回歌壇賞、21年に歌集『Lilith』で第65回現代歌人協会賞受賞。24年に第170回芥川賞候補作『Blue』を刊行。他の著書に、短篇小説集『無垢なる花たちのためのユートピア』、掌篇小説集『月面文字翻刻一例』、長篇小説『奇病庭園』、エッセイ集『かわいいピンクの竜になる』、評論集『幻象録』、歌集『人形歌集 羽あるいは骨』『人形歌集II 骨ならびにボネ』がある。2024年7月、第二歌集『星の嵌め殺し』刊行。

高田怜央|詩人・翻訳者
1991年横浜生まれ、英国スコットランド育ち。上智大学文学部哲学科卒。バイリンガル詩に第一詩集『SAPERE ROMANTIKA』、対話篇 『KYOTO REMAINS』(遠藤祐輔 共著)、「FUTURE AGENDA[未来の議題]」他 二篇(『ユリイカ』)、「AFTER YOU[あなたの跡]」(読売新聞)など。主な翻訳に、映画『PERFECT DAYS』(制作・脚本・英語字幕)がある。NY派詩の翻訳を構想中。

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